【仕事で結果が出ない人へ】知っておいた方が良いハーバード式の考え方のヒント【書籍レビュー】
学歴があるわけじゃないし、今の仕事で突き抜けて成果を出してるわけじゃない。
転職して、他社に行って活躍する自信もない。
どうすればいいのか・・・。
仕事で思うような結果が出せていない人、
仕事に熱中できてない人
毎日モヤモヤを抱えている人
そんな人に向けた記事です。
かつての僕自身も同じ気持ちを抱えてました。
営業職だったとき、会社から与えられたノルマは達成してました。
けど、営業はノルマ達成では評価されません。
評価されるには、ノルマ以上にもっと売ること。
同僚よりもたくさん売ること。
だから、全社表彰されるようになる!
っていう目標を立てた時期がありました。
けど目標は立てたものの、結局行動にはつながらず。
そんな平凡営業マンでした。
ですが、
過去の自分を含めて、
今の環境で評価されてなくても全くあきらめる必要はありません。
誰にでも才能はあります。
というメッセージをこちらの記事ではお伝えします。
今までの常識とは180度真逆の視点をあなたに与えてくれるはずです。
読むことで、キャリアの選び方について、今までより広い視野を持つヒントになるかと思います。
ここでいう今までの常識とは、平均思考です。
平均思考は、僕たちの能力を一面的に数値化した結果を重視します。
僕たちが生きる社会は、この平均思考が蔓延しています。
分かりやすいのが、学歴、偏差値です。
大学のランクやテストの結果に応じて、評価されます。
新卒採用では、大企業ほど無条件に学歴で足切りするのは暗黙の了解。
学歴選抜のあとには、SPIテストで学生の能力を数値化。
そして、テスト結果の一面的な指標で比較。
入社後は、営業マンなら売上や新規獲得数という指標で評価。
そして、年収という形で世間からは評価されます。
こんな感じで、
僕たちは、常に周囲の”平均”と比べられています。
平均より良ければ、優秀。
平均より悪ければ、劣等。
この平均思考が今までの常識です。
一方で、その真逆の視点とは、
1人1人の個性を重視する考え方です。
突然ですが、
皆さんは、次の歌詞を聞いたことがあるでしょうか。
花屋の店先に並んだ
いろんな花を見ていた
ひとそれぞれ好みはあるけど
どれもみんなきれいだね
この中で誰が一番だなんて
争うこともしないで
バケツの中誇らしげに
しゃんと胸を張っている
それなのに僕ら人間は
どうしてこうも比べたがる
一人一人違うのにその中で
一番になりたがる
そうさ 僕らは
世界に一つだけの花
一人一人違う種を持つ
その花を咲かせることだけに
一生懸命になればいい
これは、SMAPの『世界に一つだけの花』という2003年に発売されて、大ヒットした曲の歌詞の一部です。
まさに、平均思考という常識の180度真逆の世界は、
途中の歌詞にある、
僕たちは1人1人違う。
ということです。
平均的な人は存在しない。
知能だけでなく、身体のサイズ、性格、才能に至るまですべての面で。
これを科学的に検証して、
本当に1人1人の個性は異なるんだよ、という気づきを与えてくれた本があります。
それが、「ハーバードの個性学入門 平均思考は捨てなさい」です。
この本に書かれている
1人1人個性は違う
という思考を個人のキャリア選択にどのように活かせるか解説します。
この記事を読むメリットは、
- 周囲との比較が無意味だと理解できる
- キャリアを選ぶときに、自分だけの道を探せるようになる。
- 自分を活かす環境を知ることの大切さがわかる。
です。
なぜ「平均」との比較は意味がないのか
平均の考え方がこれだけ世の中に浸透しているのに、本当に1人1人の個性は異なるの?
まず、最初に浮かぶであろうこの疑問を解消します。
著者は、この疑問をいろいろな面から科学的に検証しました。
著者の結論は、
”平均的な人間は存在しない”
です。
分かりやすい一例が、
アメリカ空軍のコックピット事件です。
1940年代、アメリカ空軍は謎の事故死が多発していました。
ひどいときには1日17人が事故死。
これはさすがにマズイと原因究明をします。
ところが、
機体には異常なし。
操縦スキルにも問題なし。
最終的に何が問題だったかと言うと、
コックピットの規格でした。
この当時、コックピットの規格は、
パイロットの身体の大きさの平均値をもとにして作っていました。
身長、体重とわかりやすいものだけでなく、
首の太さ、腕の長さ、胸囲・・・などトータル10項目を調べて平均値を出して、
その”平均的な人”のサイズに合わせて
コックピットの座席の大きさ、形状、ペダル、フロントガラスの高さを設定していました。
ところが、ギルバート・ダニエルズという人が、
それぞれの検査した10項目が、平均内に収まるかを調査したところ、
全項目が平均以内(前後30%)に収まる人は、
4063人のパイロットの中で0(ゼロ)
ただの1人もいない。
首、腿、手首のみに着目しても、
平均以内は3.5%しかいない。
つまり、1人として存在しない
平均サイズの人間に合わせて
コックピットを設計していたのが
大きな間違いだったということに気づきました。
そして、コックピットを
個人個人に合わせて
座席の前後調整できるようにしたりと、カスタマイズした結果、
事故は大きく減りました。
アメリカ空軍のパフォーマンスも劇的に改善した。
この話はインパクトがありますよね。
これ以外にも、
産婦人科医が、
『理想の女性の体型』
と提唱した体型に合う平均的な女性はほぼいなかったり、
脳科学者が提唱する、
『脳が記憶するときの平均的な活動状態』
についても平均的な脳の動きをする人はほとんど見られない。
といったケースを紹介しています。
個人のキャリアに正解はない
なるほど。
「平均的な人などいない」
ということはなんとなくわかった。
けど、それが自分のキャリア選択にどのように繋がるのかイメージできない。
まず、キャリアの方向性を考えるときって、
自分で選んでいるように思えて、
知らず知らずのうちに周りに影響されがちです。
わかりやすいのが、
「有名大学→一流企業」というロードマップです。
最近だと、
「サラリーマン+副業」みたいなロードマップも国が推奨しはじめてますよね。
これらはすべて、平均思考によるキャリアの捉え方です。
社会全体が、無意識に縛られている”平均思考”からくる、学歴や偏差値の罠。
この平均思考の弊害は、
無意識にキャリアの”正解”を探そうとしてしまうことです。
それはあたかもゴールまでのプロセスが1つだけに決まっているハシゴを登るようです。
これについて、筆者は間違いだと指摘します。
私たち全員が、それぞれに特殊なケースであるというのが個性の原理。
今まで正解だと思って自分が歩いてきた道を急に間違いと言われても・・・。じゃあどうすればいいの?
答えは、周りの人が足を踏み入れたことが少ない道にあります。
心境的には、誰かのあとをついていく方が楽ですが、
僕たちは生まれながらに自分だけの道を開拓しようとしています。
カレン・アドルフという科学者が、
28人の赤ちゃんが産まれたから歩き始めるまでを追跡した研究をしました。
イメージ的には、赤ちゃんが歩くまでの過程は、
寝返り→ハイハイ→つかまり立ち→歩き始めるのパターンと言われています。
(引用:https://www.ibmjapankenpo.jp/i-support/stress/k01/k01_4_2.html)
ところが、アドルフの研究では、
28人中25パターンもバリエーションがあったそうです。
途中をすっ飛ばして、立った子もいれば、もっと複雑な動きを経て時間をかけて立った子。
歩くというゴールに対してもこれだけアプローチの仕方が違いました。
赤ちゃんは、無意識に自分が思うがままの道を歩んでいます。
誰かに教えられた正解の道を歩んではいません。
本の著者トッド・ローズ氏も、
今でこそハーバード教育大学院の教員なので、いわゆる世間の正解を辿ってきたように見えますが、
実際は、かなり特殊なキャリアを歩んでいます。
学校では成績平均以下。
先生からの評価は、トラブルメーカー。怠け者で愚か者。
高校は中退。
20歳で妻・子どもを養わないといけなかったので、生活保護を受けながら、最低賃金の仕事を転々と10種類経験する。
働きながら、ウェーバー州立大学に入学し、オールAの成績で卒業。
そこから15年後、ハーバード教育大学院の教員へ。
著者ほどの経歴はまったくないですが、
僕自身も、大学を出て、転職2回しながらサラリーマンを7年。
そして独立してフリーランスになるも、赤字続きで1度サラリーマンへ戻り、
6ヶ月修行して、再度フリーランスになって今に至ります。
というように、もう正解も常識もあったもんじゃないです。笑
個人のキャリアに正解はない。
正解と言われる道から外れるのは、最初は勇気がいります。
しかし、こういう考え方をできるようになると、見える世界はガラッと変わります。
周りがサラリーマンとして正解のレールに乗った人ばかりだと気づきにくいですが、
ちょっと景色を変えると、フリーランスで仕事している人などを見ていても、十人十色です。
一本のハシゴではなく、ドーム型のジャングルジムのように
自分が望む働き方を実現する方法は、無数にあると考えて良いと思います。
自分の個性が発揮される環境を考える
個人のキャリアに正解はないことがわかった。
けど、自分の強みや弱みといった個性がわからない。どう考えればいいの?
著者トッド・ローズ氏は、個性を見るとき、環境もセットで考えることが大事と言います。
著書の中で、
ワシントン大学の正田祐一教授が、84人の子どもを6週間のサマーキャンプ期間中(お風呂を除く)すべての時間で子どもたちを観察する実験をしました。
大人も同じくらいの人数で、1人の子どもにつき167時間も観察したそう。
その結果を集計してわかったことが、
個性や特性は、状況に応じて変化する。
誰しも両面を持ち合わせていて、状況に応じて変わりうる。
大切なことは、状況・環境によって自分の行動パターンは変わりうる。と理解すること
でした。
ある男の子は、外で遊んでる時は外向的でも、数学の授業中は内向的だったり。
ある女の子は、特定の女の子といるときは外向的だけど、それ以外では内向的だったりしたとのこと。
同級生といるときは、攻撃性が高い子も、大人の前では静かになったり。
これを仕事に置き換えるなら、
今は、外向的で活発でやる気があるように見える人でも、
特定の状況下では、内向的になって、やる気をなくしたり、力を発揮できないという両面を持ち合わせているのが当たり前
ということです。
そして、自分がやる気をなくしたり、ストレスを感じる状況は、職場を変えても同じです。
どんな強みを持っていたとしても、自分にとってストレスを感じる状況では力を発揮できません。
例えば、僕の場合は、
営業として、人と話をしたり、困りごとを解決することは好きでした。
けれど、毎月ノルマに追われるという環境がストレスだったので、営業職を辞めました。
また、仕事内容や働き方を自分で決めることができない、
裁量権がないサラリーマンという環境はストレスだったので、フリーランスを選びました。
このように、
・ノルマに追われる
・裁量権がない
という環境においては、僕は今後もずっと力を発揮できないです。
自分にとってストレス無い環境はどういった状況か。
自分の個性を活かすためにも、環境もセットで考える必要があります。
まとめ
成功への道は自分にも開かれている
1人1人個性があって、個人のキャリアにも正解がない。そして、自分の個性を発揮できる環境を見極めることの大事さもわかりました。
最後に、本の著者トッド・ローズ氏は、どうやって高卒中退、生活保護の状態から大学オールA卒業→ハーバード教員と劇的に変化できたのか。
その成功の理由について解説します。
なぜ、トッド・ローズ氏が成功できたのか。
それは、本人曰く
- 成功への道は自分にも開かれていると信じること
- 自分がどんな人間なのかきちんと理解しておくこと
自分はどんな人間なのかについては、自分の能力にはどんなバラツキがあるのか、ということ。
個性を見るときに、1つの指標だけでの優劣はないし、平均的な人間もいません。
集中力を発揮できるのは、どういう状況で何をしているときか。
逆に、退屈に感じたり、苦痛に感じるのはどういう状況か。
ここを考えると、自分らしい働き方のヒントになるかと思います。
自分が能力を発揮できる環境を見つけること。
彼が大学でオールAの成績を出せた理由は、
自分の力を出せる環境を理解していたからと言っています。
✖️自分の力を出せない環境 | ⭕️自分の力を出せる環境 |
---|---|
高校の同級生が同じクラスにいたら、自分は道化師になってしまう | 知り合いが1人もいない講義のみ受講 |
毎回長時間話しを聞く数学の講義には飽きてやる気を失う | 自分のペースで勉強できる、テスト一発勝負の数学の講義を受講 |
暗記形式の講義には飽きる | ディスカッション形式の講義だと楽しんでできる |
内省するって大事ですね。
仕事で自分の個性を発揮できる環境は、↓のようなものがあります。
例を挙げると、
- 人と話しながら作業 or 黙々と1人で作業
- 社内の人と関わる or 社外の人とも関わる
- チームで1つの仕事をする or 個人で1つの仕事をする
- 身体を動かす or デスクワーク
- 仕事への裁量権がある or マニュアル通りに作業する
- 日々違うタスクをやる or 決まった業務のみをやる
- 対面での作業 or リモートでの作業
- 短期で完結する仕事 or 長期のプロジェクトを進める仕事
- 規則正しいスケジュール or 自由なスケジュール
- 人やチームをまとめて成果を出す or 自分のスキルを磨いて直接成果を出す
この中から、自分の能力を活かせる環境はどれか。
例えば、
僕は↑の選択肢で自分を活かせると思うのは、
- 個人で1つの仕事をする
- 仕事への裁量権がある
- 自由なスケジュール
- 自分のスキルを磨いて直接成果を出す
の4つの環境だと感じています。
どの環境が合ってるかを判断するには、
自分が過去の経験から退屈に感じたり、苦痛に感じた経験を参考にしています。
僕自身は、サラリーマン時代に1ヶ月で3回部署異動されたり、仕事を効率化しても上司から仕事が降ってきて残業させられた苦痛があるので、
仕事への裁量権や個人で1つの仕事をすることは、自分を活かすのに絶対に必要です。
また、出社時間とかを決められるのはストレスですし、マルチタスクをこなすよりは1つのスキルを極めたいなと感じます。
このように自分が能力を発揮できる環境を少しずつ理解していくと、めちゃくちゃ生きやすくなります。
この記事を読んで、あなたの個性を発揮できる環境を見つけて、独自のキャリアを歩めたらうれしいです。
個人的な採点
個性は1人1人異なる。平均的な人は存在しない。
という事実を科学的な根拠を持って伝えてくれる良書です。
教育や採用など他者を評価する職に就いてる人には特にオススメします。
書体・文字テイスト参考
文字のフォントとか行間の使い方、って大事ですよね。
ネットで購入するときの判断材料としてご参考に。
大きさは文庫本です。
本の目次
第1部 平均の時代
1. 平均の発明
2. 私たちの世界はいかにして標準化されたか
3. 平均を王座から引きずりおろす
第2部 個性の原理
4. 才能にはバラツキがある
5. 特性は神話である
6. 私たちは誰もが、行く人の少ない道を歩んでいる
第3部 個人の時代
7. 企業が個性を重視すると
8. 高等教育に平均はいらない
9. 「機会均等」の解釈を見直す
著者プロフィール
トッド・ローズ(Todd Rose)氏は、心理学者であり、ハーバード教育大学院で心理学教授として「心・脳・教育プログラム」を主宰し、〈個性学研究所〉を設立しました。 また、誰もが活気ある社会で満ち足りた人生を送れるような世界の実現を目指すシンクタンク〈ポピュレース〉の共同設立者・代表でもあります。
著書には、『ハーバードの個性学入門――平均思考は捨てなさい』(早川書房)、『Dark Horse――「好きなことだけで生きる人」が成功する時代』(共著、三笠書房)、『なぜ皆が同じ間違いをおかすのか 「集団の思い込み」を打ち砕く技術』(NHK出版)などがあります。