【仕事で何がしたいかわからない人へ】ロングセラーの名著から学ぶ悩みを解決するヒント【書籍レビュー】
今の仕事を続けても、将来の明確なビジョンが見えない・・・。
転職すべきか、副業・独立に向けて準備を始めるべきか迷う・・・。
仕事の悩みって尽きないですよね。上司や同僚との関係。営業ノルマに追われたり、仕事が単調すぎてモチベーション下がったり、色々あるかと思います。
この悩みについて、
原因を根本から突き止め、悩みを克服するための方法を解き明かした
悩み解決のエキスパート D・カーネギーの著書「道は開ける」
を参考に、キャリアの悩みの解決方法を解説します。
この記事は、
- 一生使える悩み解決の方法論を学びたい
- 人に相談する前に自分で悩みを解消したい
という方におすすめです。
本題に入る前に、ぶっちゃけた話、かつての僕のようにこう考える人もいるかと思います。
実際、自己啓発本を読んだくらいで悩みが解決するなら苦労しないよ。
その気持ちよくわかります。
これについては、著者カーネギー氏が次のように言っています。
本当に皆さんの悩みを解消するのは無理かもしれない
誰にも不可能である
結局できるのは皆さん自身だけです
ここでは、実際に多くの人が悩みを解決してきた事例を紹介するのみです
それから先は皆さん次第なのだ
と言っています。
さすが、カーネギー氏見事な先回りですw
僕自身も、
大企業から中小企業
営業から事務職・現場仕事
転職、副業、フリーランス
とさまざまな経験をする中で悩みを抱えてきました。
年功序列のザ・日本企業での葛藤や成果主義の営業職での挫折、独立後すぐにコロナで売上ゼロになったり、フリーランスから赤字続きでサラリーマンに1回戻ったりと紆余曲折でいまに至ります。
そんな過去の経験から、
本の内容を読んで、「そうそう!この考え方大事!」「これに近い考え方に助けられた!」と共感した部分など実体験を含めて解説してきます。
ここで紹介するのは僕も含めたあくまで事例に過ぎないですが、
少しでも参考になれば幸いです。
やりたくないことを排除する
やりたくないこと?
やりたいことを見つけたほうがいいんじゃないの?
僕はこのブログでは、一貫して
「やりたいことを見つける」よりも先に
「やりたくないことを捨てる」方が良いと考えています。
これについて、著書の中では、ベストセラー「嫌われる勇気」で有名な心理学者アドラーの話が引用されています。
うつ病患者は、しばしば自殺によって自己に復讐する傾向を持っている。
だから、医師が最初に注意しなければならないのは、彼らに自殺の口実を与えないこと。
そのため、アドラーは、うつ病の患者に対して診察するとき、
最初に必ず
「したくないことは決してするな」
と治療の第一歩として説いていたそうです。
もし、うつ病患者がしたいことをしていいのだったら、誰も恨みようがなく、自分に腹いせもできないから。
そうすると、たいていの患者は
「しかし、したいと思うことなど別にありません」
と答える。
すると、アドラーは患者に対して、
「じゃあ、したくないことを無理にする必要もないさ」
と答える。
極限まで精神を病んでいる方に対する最初のアドバイスが、
「したくないことは決してするな」
であることの意義は深いと思います。
つまり、「やりたくないことを排除すること」は、あらゆる障害の根源に迫るものであるとアドラーは考えていたのです。
やりたくないことを排除することがいかに大切か、うつ病患者に対するアドラーの話からもわかるかと思います。
世間では、やりたいことを見つけよう、自分が楽しいことだけやろう、ワクワクする未来の目標を立てようと言っている人たちがいます。
10代-20代前半の独身で、実家暮らし、学生、自分のお小遣いだけ稼げればOK。という人なら積極的にやりたいことを見つけるためにチャレンジするのもありだと思います。
しかし、僕自身がそうでしたが、1人暮らしや家族持ちなどの多くの社会人は、生きていくための生活費を稼ぐことがまず最優先です。
その場合、やりたいことを見つけるために時間だけ費やして、稼げないとなると死活問題です。
それよりはまず、やりたくないことを排除して、
無理なく続けることができる仕事を見つける方がリスクを抑えて、より主体的に自分らしく生きるファーストステップとしておすすめです。
ちなみに、ここでは深掘りしませんが、
アドラーが、うつ病患者にする「やりたくないことを排除する」ことの次のステップが、
「どうしたら他人を喜ばすことができるか」(人に与えることで自分が満たされる)
と考えることである点はとても示唆に富んでいると思います。
自分ができることに集中する
あなたの悩みのタネはなんですか?
例えば、
- 業界全体が斜陽産業。将来性が不安
- SNSで他人のキラキラした投稿を見て、焦ってしまう
- 評価制度があいまいで、年功序列の壁があって昇給しにくい
- AIが普及したら、自分が積み上げた技術が一瞬で価値がなくなるかもしれない
といったものだったとします。
僕も↑と同じような気持ちを感じていた時期がありました。
これらはまさに、自分がコントロールできない悩みの典型例だったりします。
一方、著書の中で、アメリカの実業家に”悩み”についてインタビューした部分があります。
インタビューされた彼らの共通点は、意外にも悩みとは無縁の日々を過ごしていたこと。
ペニー・ストア社長
「私は一文なしになっても悩みはしない。悩んだところで何の益もない。私は最善を尽くして、あとは天に任せる」
フォード社長
「もはや手の施しようのない事態になったら、事態のなりゆきに任せるだけ」
クライスラー社長
「苦境に立って、万事休すしたときはできることがあれば、それをやる。できることがなければ、あとは忘れる。私は未来について心配しない。なぜなら、未来にどんなことが起こるか確かな予想ができる人はいない」
自分ができることに全力を注ぐ。
それ以外のコントロールできないことは忘れる。未来は誰にもわからない。
この原則に忠実に従うなら、
将来なにが起きてもいいように備えて、
自分ができること = 転職や副業、あるいは独立の準備を常に進めておくこと。
未来のことは考えない。
僕も会社員だった頃、将来に対しての漠然とした不安と自分の居場所はここじゃない感。けど、どこに向かうべきかわからないような感覚を持っていた時期がありました。
そのとき何を考えたかというと、何をするにもお金が絶対必要。土日時間があるからとりあえず副業しよう。
そしてお金を貯めよう。と一歩を踏み出したのが最初です。
振り返っても、この選択は正しかったなと思っています。
やりたいことが見つからないなら、まずはお金を貯めろ
という言葉を以前どこかで見かけましたが、ほんとその通りだなと思います。
あと、不安って時間に余裕があると頭によぎる側面もあるらしいです。
だから、一例として戦争から帰ってきて心が疲弊している兵士に、医者は「常に忙しくしろ」とアドバイスするそうです。
釣りやゴルフ、狩猟したり、と戸外活動の予定をパンパンに詰め込む。
そうすることで、一時的に悩みを忘れる作業療法としては効果的だそう。
なんかこの話を聞いて、
身内が亡くなった時の役所関係の手続きの多さも作業療法なのかなと思ったりもしました。
あれやこれやと動き回ることで、悲しさを紛らわす。
もし、そうだとしたら先人の知恵ってすごいなと思います。
単なる行政の非効率の可能性もありますけどw
マイナスをプラスに変える
偉大な心理学者である、アドラーはこう言っていたそうです。
人間の驚嘆すべき能力は、マイナスをプラスに変える能力である
本の中では、アメリカ陸軍の夫を持つ妻の話が出てきます。
彼女は、夫の仕事の関係で、見知らぬ土地の砂漠地帯へと赴任することになります。
そこは、猛暑で昼間でも気温が50度。
しかも砂嵐がずっと吹き荒れ、話し相手もいない周囲にはいない。日中は1人掘立て小屋のような家で過ごす。
さすがに、精神的に参った彼女は両親に愚痴の手紙を書いたそうです。
これを見た、父からの手紙の返事はたったの2行。
刑務所の鉄格子から、2人の男は外を見た。
1人は泥を眺め、1人は星を眺めた。
彼女は、これを見て自分が恥ずかしくなり、そこから人生が一変したそうです。
現地に住む先住民と友だちになり、
砂漠に生えるサボテンなどの珍しい木々やプレーリードッグに興味を持ち、砂漠の夕陽を眺めるようになった。
心構えが変わったことで、
みじめに思えた日常が、生涯で最も面白い冒険に変わった。
このように一見するとかわいそうに思えるような状況でも、
心構えを変えて、現実を前向きに生きてきた方々の事例はたくさん出てきます。
よく聞く話としては、コップの中の水の話であったり、
コップの中に水が半分あるとしましょう。
ある人は『半分しかない』と思い、ある人は『半分もある』と考えます。
事実は変わらないのに、とらえ方ひとつで見え方が変わるのです
パナソニック創業者の松下幸之助氏の話も有名です。
貧乏で学歴もなく、体も弱かった。だから成功した。
僕も会社員のころはさまざまな悩みを抱えていました。
一方で、フリーランスとなった今、
当時はなかなか実感できなかった会社員のメリットをたくさん感じることができます。
・休みでも給与がもらえる(有給)
・実は、会社が社会保険を半分負担してくれている
・雇用保険を使うことで、休職・失業手当や資格取得の補助金が国から支給される
などなど・・・
今いる環境のプラスの面に目を向けて、最大限活用する。
このマイナスをプラスに変える発想は「ゆるブラック」と呼ばれるような会社・環境にいる人には向いてるのかなと思います。
一方で、
もっと極端にマイナスな状況
例えば、長時間のブラック労働や上司からのパワハラ環境などの場合は、逃げるが勝ちかなと僕は思います。
現在の気持ちや対処した方法を残しておくと、後々将来同じように苦しんでいる人たちのために、役立つかも知れませんが、
まずは、自分の身を守るが最優先かなと思います。
まとめ
個人的な採点
『道は開ける(How to Stop Worrying and Start Living)』(1948年)
悩みを解消し、より良い人生を送るための具体的な方法を説いています。
本自体が古く、また海外の事例が中心になるのでピンとこない例もあったりしますが、
悩みを解消したサンプル事例がめちゃくちゃ多いので、いずれか琴線に触れるような話が見つかるかと思います。
書体・文字テイスト参考
文字のフォントとか行間の使い方、イラストの相性って大事ですよね。
ネットで購入するときの判断材料としてご参考に。
文庫本のサイズは、片手で持って読むことができるので良いです。
本の目次
序章
• 訳者まえがき
• 序 本書の生いたち
• 本書から最大の成果を得るための九カ条
PART1 悩みに関する基本事項
1. 今日、一日の区切りで生きよ
2. 悩みを解決するための魔術的公式
3. 悩みがもたらす副作用
PART2 悩みを分析する基礎技術
4. 悩みの分析と解消法
5. 仕事の悩みを半減させる方法
PART3 悩みの習慣を早期に断つ方法
6. 心の中から悩みを追い出すには
7. カブトムシに打ち倒されるな
8. 多くの悩みを閉め出すには
9. 避けられない運命には調子を合わせる
10. 悩みに歯止めをかける
11. おがくずを挽こうとするな
PART4 平和と幸福をもたらす精神状態を養う方法
12. 生活を転換させる指針
13. 仕返しは高くつく
14. 恩知らずを気にしない方法
15. 百万ドルか、手持ちの財産か
16. 自己を知り、自己に徹する
17. レモンを手に入れたらレモネードをつくれ
18. 二週間でうつを治すには
PART5 悩みを完全に克服する方法
19. 私の両親はいかにして悩みを克服したか
PART6 批判を気にしない方法
20. 死んだ犬を蹴飛ばす者はいない
21. 非難に傷つかないためには
22. 私の犯した愚かな行為
PART7 疲労と悩みを予防し心身を充実させる方法
23. 活動時間を一時間増やすには
24. 疲れの原因とその対策
25. 疲労を忘れ、若さを保つ方法
26. 疲労と悩みを予防する四つの習慣
27. 疲労や悩みの原因となる倦怠を追い払うには
28. 不眠症で悩まないために
著者プロフィール
デール・カーネギー(1888年-1955年)は、アメリカの作家・教育者で、人間関係や自己啓発の分野で影響を与えた先駆者です。著書『人を動かす』や『道は開ける』は世界的なベストセラーで、人間関係の築き方や悩みの克服方法を説いた内容が多くの人々に支持されています。彼が創設した「デール・カーネギー・コース」は、ビジネススキルやリーダーシップを学ぶ場として、現在も世界中で展開されています。