【行動できない人必見】やりたいことを頭で考えても、行動できないのか悩む人への解決のヒント【書籍レビュー】
今、自分は本当にやりたいことをやっているのだろうか?
多くの人がこの疑問を感じながらも、仕事の責任に追われ、自分の内なる声を見失いがちです。
そして、自己啓発本を読んだり、ネットで検索すると、手っ取り早いノウハウが書かれています。
過去の自分史、モチベーショングラフを作りましょう。
Will、Can、Mustの重なった部分を探しましょう。
- Will:自分がやりたいこと
- Can:自分の強みやスキル
- Must:仕事上の目標やミッション
自己分析ツールを使いましょう。
これらをやってみても、
なんかしっくりこない。
実際に行動しようと思っても続かない。
目先のノウハウとかツールではなく、
自分が心の底から「やりたいこと」を明確にし、
そこに向かって挑戦し続けるための思考と実践方法を得たい。
そんな人にこそ読んで欲しい本が、
『チームが自然に生まれ変わる EFFICACY DRIVEN LEADERSHIP』
です。
ん?チームが生まれ変わるって書いてあるけど、マネジメント職じゃないから関係ないんだけど。
僕も1人フリーランスで誰かを雇用しているわけではないので、最初自分には関係ないと思いました。
たしかに書籍の中身は、1on1のハウツーやリーダー論についても後半に書かれていますが、
そもそもチームや組織のリーダーである前に、
「あなたは自分自身のリーダーとなれているか」
という問いから始まります。
そして、書籍のベースは
認知科学を土台にしていて、
ヒトの本能的な欲求や認知・脳の仕組み
に沿って解説されています。
ここの部分については、マネジメント層でなくても、全社会人に共通で関係します。
そして、ヒトの原理原則に沿っているからこそ、
従来の自己啓発本のノウハウだけではしっくりこなかった人におすすめです。
自己理解を深めたい人にこの本を読んでほしい理由
ヒトの脳・認知の仕組みに沿っているから
本書では、認知科学を用いて解説がされています。
認知科学とは、
ざっくりヒトの心には何らかの無意識なバイアスがかかっていて、
それによって行動が左右されるよね。
と考えることです。
ポイントは、無意識であることです。
無意識なので、自覚できてないです。
では、普段の生活で人にはどんなバイアスがかかっているかを示すために、具体的な例を挙げます。
会社員のあなたが仕事での人間関係に悩んでモヤモヤしていたとします。
それをフリーランスの友だちに話をしたところ、
友だちはあなたに、「え、じゃあ起業すればいいじゃん?」と言ったとします。
そうすると、あなたはどう反応しますか?
「え、起業なんてリスク高いし、怖い、できるわけないじゃん」
と仮に返答したとします。
そうすると、その友だちは、
「え、会社員の方がリスク高いじゃん。だって、嫌な上司に振り回されるかもしれないし、来月には仕事内容や勤務地まで変わる可能性だってあるでしょ?」
と言ったとします。
この場合、『起業する』という同じワード(外部刺激)に対して、
『起業なんてできない』
『起業するのが普通』
とまったく異なる反応を示したことになります。
その場合、認知科学では、こころ(内部モデル)、つまり起業に対する認識が違うため反応が変わると考えます。
「起業=リスク、怖い」
「起業=普通、むしろ会社員の方がリスク」
では、起業に対する認識が違うバイアスの原因は何なのか。
例えば、あなたは過去に親から
「起業なんて借金背負って危ない。叔父さんは自営業だったけど借金で首が回らなくなって、結局持ち家から全部取られちゃったのよ。そんなことをしたら取り返しにつかないことになるからね」
と言われてたのかもしれません。
あるいは、今まで自分の周りに誰一人起業した人などいなくて、
「まったく想像がつかない未知のもので危ない」
と無意識に敬遠しているだけかもしれません。
どちらにしても、この無意識にできたバイアス(モノの見方)を自覚する。
そして、バイアスを自覚して変えないと行動は変わらないというのが本書に通底する話です。
無意識下に染み込んだ価値観やバイアスとして、
特に、親の価値観の影響は残りやすいと思います。
たとえば、僕の場合、
親が「いい学校に行って、いい会社に入って、定年まで勤めることが安泰」という価値観を持っていたので、
僕自身も、社会人なったばかりの頃は、起業なんて選択肢を考えようとも思っていませんでした。
無意識のバイアスに”会社員として就職する”ことしかなかったからだと思います。
もしかしたら、そういった起業した人の話や情報も
当時から自分の身近にあったのかも知れませんが、
バイアスを書き換えないことには記憶に残るはずもないですし、行動が変わるはずもないですよね。
ヒトの本能的な欲求を理解した上で解説している
自己理解をしたい人にこの本をオススメするもう1つの理由。
それは、ヒトの本能的な欲求を土台にして解説しているからです。
ヒトの本能的な欲求として、食欲や睡眠欲などはイメージしやすいと思います。
ですが、書籍で触れられている、僕たちが生まれながらにしてもつ欲求は
「変わりたくない」
という欲求です。
資格の勉強をしよう。
ダイエットしよう。
副業にチャレンジしよう。
なにかしらのアクションをしようと思ったけど、結局変われなかった
という経験がある人もいると思います。
まさに、その原因となってるのが「変わりたくない」という本能的な欲求です。
美味しいもの食べたいとか、眠くなったら寝たいとかはよく感じるけど、”変わりたくない”なんて欲求が本当にあるのかな?
変わりたくないという欲求を知るには、
逆に、変わろうとするときにどれぐらい自分にストレスがかかるか考えるとわかりやすいです。
想像してみてください。
毎日通勤するまでの道のりを変えなければいけなかったり、
乗る電車の場所を変えなければいけなかったり、
出勤したオフィスの自分の席がシャッフルされてるとしたら・・
たぶん多くの方は、めちゃくちゃストレスだし、不快に感じると思います。
これは逆に言うと、
普段通りに同じことを繰り返したい=変わりたくないという欲求があるってことですよね。
人間の脳は、新しいことを学んだり、新しい場所に適応するのに、大量のエネルギーを消費するそうです。
だからこそ、
脳は習慣的ないつもの行動やなじみの環境を好んで、
エネルギーを節約して、生きていくのに必要な活動や危機に備えるとのこと。
そう考えたら、
人間が生存本能として、無意識に変わらない選択をしていることが理解できるかと思います。
そうなると問題となってくるのが、
じゃあどうやったら人は変われるのか?
現状から脱することができるのか?
これについて、書籍では具体的な方法論が書かれています。
ここでは、僕の実体験と照らし合わせて、
確かにそうだったなと思えることをご紹介します。
人が現状を変えて行動する方法
ゴールとエフィカシー
ゴールは、自分が心からやりたいと思える臨場感のある未来・目標のこと
エフィカシーは、根拠はないけど「自分ならやれる!できる気しかしない」という自信
現状を変えて行動するための土台となる
ゴールとエフィカシー
この2つが組み合わさることで、
ヒトは、変わりたくないという本能に抗ってでも、前に進むことができます。
僕は、ゴールについては
臨場感のある未来でなく
渇望する未来と言い換えています。
自分はその未来を渇望するぐらい欲しいと思っているか。
喉から手が出るくらい欲しいのか。
それぐらい思えないと
今のままで変わらないでいいじゃん
という本能に押し戻されてしまう。
僕自身が、
転職2回、
会社員と副業の両立、
独立してフリーランス
と行動できたのを振り返ってみました。
当時、会社員だったころの自分の気持ちを思い返すと
僕は、フリーランスという自由な働き方がめちゃくちゃ欲しかったです。
文字通り、渇望してました。
エフィカシー(自分ならやれる!)という自信については、
最初から
オレなら独立してやっていけるぞ
という自信があったわけでは全くないと思います。
むしろ、なかったからこそ、
事務職から転職して、
新規開拓の飛び込み営業をやって、
どうにか毎月のノルマをクリアできたり、
副業で、土日だけでも
会社以外からの収入(事業所得)を稼いだりと
小さな成功体験を積んだことで、
最終的に、なんとかなるかもというエフィカシー(自信)ができたと思っています。
エフィカシーには、根拠がない自信とありますが、
ジャンルは違えど、そこに至るまでに
小さな成功体験を積み重ねたことによって、
未知のものに対しても飛び込む勇気が出るのかなと思います。
一方で、
本当になりたいと思うゴールでなかったために
簡単に引き戻された経験もたくさんあります。
マッチョな人を見て、
いいなぁ、あんな感じになりたいな
と思って、筋トレをし始めたこともありましたが、
そのゴールは、全然長続きしませんでした。
自分の設定したゴールが、
本当に渇望する未来なのかというのは
変わらないという本能に抗うために
めちゃくちゃ大事なポイントだと思います。
よくある自己啓発書では、
著者の体験談や抽象的なアドバイスに留まることが多いですが、
こちらの本は、認知科学の理論に基づいて
ヒトの認知の仕組みや変わりたくないという欲求を踏まえて、
どうやったら目標に向けて動けるのかというフレームワークを知りたい人には最適な一冊です。
本の目次
はじめに あなたの職場はなぜ「たるんでいる」のか?
■第1章 内側から人を動かす
■第2章 エフィカシーの認知科学
■第3章 リーダーはHave toを捨てよ
■第4章 パーパスを「自分ごと化」する
■第5章 メンバー全員Want to
■第6章 組織のパーパスをつくり、浸透させる
【総論】チームが自然に生まれ変わるには?
著者紹介
著者の李氏は、認知科学に基づくコーチングの第一人者であり、Mindsetコーチングスクールを通じて多くのリーダーの成長を支援しています。
また、共同著者の堀田氏はシナモンAIのフューチャリストとして活躍し、未来志向の経営やパーパス経営を推進しています。彼らが本書で提唱するのは、単なる「自己啓発」ではなく、科学的根拠に基づいた実行力あるリーダーシップ論です。